Budjette Tan 

  • バジェット・タン MRMマニラ、副エグゼクティブクリエイティブディレクター代理
  • Adobo Magazine(2013年9月13日)
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ミームをフォローする:ブランド・ストーリーをバイラルに/バジェット・タン

2013年9月13日、マニラ - MRMマニラの副エグゼクティブクリエイティブディレクター代理バジェット・タン氏は、第7回IMMAP(フィリピン・インターネット及びモバイルに関する市場調査協会:Internet and Mobile Marketing Association of the Philippines)サミット2013で発表したプレゼンテーション『バイラルクリエイティブコンテンツマーケティング』の中で、「ブランド・ストーリーを広める方法を知るためには、ミームについて調べるべき」と助言しました。「ミームは、ネットにアップされる単におもしろいものではありません」と指摘した上で、ミームとは、「1つのカルチャー内で人から人へと広がるアイディア、行動、スタイルと定義されています」と説明しました。

タン氏は、リチャード・ドーキンズが遺伝子との類推でミームを作り出したことに触れました。生物情報が遺伝子を介して伝わる一方で、カルチャー情報はミームを通して広がります。ギリシャ語でミームは、「まねる・借りる」を意味します。

“計画的な情報だけを掲載するのではなく、人々の感情を刺激して反応を引き出さなければなりません。”

タン氏は、ミームについていくつかの例を挙げました。リーバイスのジーンズと「barkada」という言葉です。リーバイスのジーンズは元来、労働者の作業着として作られたものです。しかし年月を経て、「クール(かっこいい)」と考えられるようになりました。「barkada(仲間)」という言葉は、「船に同乗している乗客の一行」を意味するスペイン語の「barcada」を語源としています。

タン氏は、ブランド・ストーリーをミーム化するための助言として以下を挙げました。

1. 共感されなければならない
2. 変形・応用されなければならない
3. 取り入れられなければならない

また、人々を何かに共感させるためには、彼らの心を動かさなければならない、それは、笑わせることでも、フィリピン人としての誇りを持たせることでも良い、と説明しました。

タン氏は、「自分のページやウェブサイトなどに、計画的な情報だけを掲載し、人々がその情報を広げてくれると期待してはいけません。人々の感情を刺激して、反応を引き出さなければならないのです」と述べた上で、2本の企業広報(CPR)ビデオを比較し、ギャングが登場してマイケル・ジャクソンの音楽が利用されているビデオの方が明らかに成功していると指摘しました。「提供されているのは同じ情報です。しかし、もう1本のビデオの方が、よりバイラルでミーム的と言えます。歌を利用することで、視聴者に何かとても大切なものを思い起こさせています。これこそが、このビデオがさらに広がり、多くの人々を救うことになった理由です」と強調しました。


また別の例として、ネスカフェの巨大な正義の味方ロボット(EDGAR)を挙げました。このロボットは、「ネスカフェ3-in-1」の内容量が20%増量されていることを人々に伝えることを目的として作り出されました。

タン氏はこのCMについて、「『人々がコーヒーを求めて集まったとき、そこにはいつもネスカフェがある』ということを視聴者の心に焼き付けたかったのです。何かおもしろいこと、心を揺さぶられる何かが始まるという予感です」とコメントしました。MRMはこのCMで、今年のブーメラン・アワードの「キャンペーンの印象(Campaigns Effectivity)」部門で2つの銀賞を獲得しました。このCMを印象的なものにしたのは、「エンターテイメント、エンターテイメント、エンターテイメント」の一言に尽きます。タン氏は、キャンペーンの成功について語ったタイのクリエイエィブディレクターの言葉を引用して、こう答えました。

「ミームに共感してもらう」に続く次のステップは、「ミームを変形・応用してもらう」ことです。これは、Psy(サイ)の江南スタイルのビデオを見た人々が自分のオリジナルバージョンを作ったのと同じです。タン氏は「興味深い点は、彼らはすべてを完璧にコピーしたわけではありません。フィリピン風にしたことで、広く受け入れられたのです」と説明しました。

 

同様に、フィリピン政府観光省の「もっと楽しいフィリピン(It’s More Fun in the Philippines)」キャンペーンも成功を収めました。人々を関与させることに成功したからです。タン氏は、「人々に、ブランド・ストーリーを変形・応用してもらう必要があります。もちろん、そのためのツールは提供します」とした上で、観光省が、人々が写真をアップしたり、コメントを入れたりできるアプリを導入したことを明らかにしました。

最後に、人々の日常生活の中にブランド・ストーリーを取り入れてもらわなければなりません。それを実現できる1つのメディアとして、フェイスブックがあります。ネスカフェはフェイスブックに、「あなたのコーヒーのおともは?(What goes well with your coffee?)」といったシンプルなメッセージを載せています。人々にまるで友だちのように話しかければ、彼らももっと深く関わってくれるのです」とタン氏は説明しました。

ブランド・ストーリーが伝説になることがあります。その例が米百貨店メイシーズの「イエス、バージニア(Yes, Virginia)」キャンペーンです。キャンペーンを基にしたクリスマス・ミュージカルが作られ、子どもたちにとってより身近な存在となったのです。タン氏は、人々がブランド・ストーリーを変形・応用し、それを自由に使うことが重要であると強調し、以下のように続けました。「私たちは、人々がブランド・ストーリーを自由に変形・応用できるような環境を提供するべきです。そして最終的にはそれが人々の日常生活の一部になるのです。あるいは、上手く行けば、伝説やカルチャーの一部になるかもしれません。」

バジェト・タン は、MRMマニラの副エグゼクティブクリエイティブディレクター代理です。